皆様こんにちは!加工の民のムーチョです!
突然ですが水分活性って聞いたことありますか?あまりないですよね^^;
水分が活発に動いている様子?暴れてる?てか活性って何?ハテナだらけだとお思います。

実はこれ食品の保存性においてとても重要なものです。
食肉加工ではジャーキーなどの乾燥物、生ハムなどの非加熱物に深く関係があるものなのでぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです!!
目次
・水分活性とは?
・水分活性の下げ方
おまけ、水分活性の測り方と基準
水分活性とは
水分活性 Aw
食品に含まれる水は遊離水と結合水である。この遊離水が微生物の繁殖に関与し、多いとカビや細菌が増殖する。また、吸湿や放湿に影響する。この値が耐久性の目安になるWateractibityの略で、Aw=0.70として表す。細菌は0.9以上酵母は0.88以上、カビは0.8以上の条件で活発に増殖するといわれている (お菓子の辞典 株式会社イシハラhttps://www.ishihara-company.com/sweets-dictionary/jiten07.html)
遊離水やら結合水やら難しい言葉がたくさんありますね。。
簡単にまとめると、水分活性(Aw)という数値が低いと腐りにくいということ!
ざっくりすぎましたね笑 詳しく解説していきます!!
結合水とは
結合水とはタンパク質などの食品の成分と結合している水分のことで、結合水は微生物が繁殖する時に利用できない水分です。
結合水は水素結合という強力な愛で結ばれたカップル水分なので簡単には切り離せず微生物が間に割り込むことができないのです。リア充なんですね。。。アベックなんだ結合水は。。。
遊離水(自由水)とは?
遊離水とは微生物が自由に使える水分のことです。つまり遊離水が多いと微生物、主に細菌が増殖しやすく腐りやすいということです。最近は遊離水ではなく「自由水」と呼ばれることが多いです。以後「自由水」と呼びます。
なんで水分が多いと腐りやすいの?と思ったあなた!!理科の復習です☺︎
微生物主に細菌の増殖に必要な3原則は
『温度』『水分』『栄養分』でしたね⁉︎
この3つの条件が整った環境だと爆発的に微生物が増殖します。
生肉を常温で放置していたらすぐに腐ります。では冷蔵庫に入れておいたらどうでしょう、常温より遥かに日持ちしますね!
そう、3原則の1つでも微生物にとって良くない環境があれば増殖しにくく、腐りにくくすることができます!『栄養分』を食材から減らすことは厳しいので『温度』『水分』をどうにかして保存性を高めようということです☺︎
今回は水分活性のお話なので『水分』に注目して進めていきます。
自由水が少ないと微生物にとってどんな状態になるのでしょうか。微生物は私たち人間と同じように水分がないと思うように繁栄できません。
自分を人に害を及ぼす食中毒菌だと思ってください
カップルやグループだらけの空間に放り込まれ1人孤立していたらどうでしょう。

自分だけ場違いな気になりませんか?その環境は居づらいですよね。相手になる人がいなければ子孫も残せません。
では飲める水がない砂漠に放り込まれたらどうでしょうか。弱るか死んでしまいますね。もちろん子孫も残せません。

砂漠の環境はジャーキーによく似ていますね!だからジャーキーなどの乾燥品は保存性が高いのです☺︎
水分活性の下げ方
水分活性の下げ方は主に3つあります。
- 塩漬け
- 乾燥
- 砂糖漬け
塩漬けで水分活性を下げる仕組みは過去に塩漬けの記事でお話しした通りです。乾燥も干物など私たちの生活に身近な食べ物に利用されている方法なのでなんとなくわかりますね!
砂糖漬けはジャムやドライフルーツによく使われる方法で、糖は水と非常に結合しやすいので保存性の高いものを作ることができます!食肉加工ではコクや深みを出す目的以外に水分活性を下げるために糖を用いることが多々あります。
大量生産する工場で生ハムを作る時は糖を添加して短期間で生食可能な生ハムを製造しています。私の先生は

塩よりも糖の方が重要なんじゃ
とよく言っていました!(こんな口調じゃなかったけど☺︎)それほど糖の力は強力なんですね!
なんちゃってパンチェッタを作った時に「なぜ砂糖を使うんだ!バカチンが!」と思った方いませんか?こういうことですm(_ _)m
ここで小話
砂糖やブドウ糖などの糖を添加して短期間で生ハムを製造していると言いましたが、私はこの生ハムを「ケミハム」と呼んでます。添加物ましましのケミカルな美味しい生ハムだから「ケミハム」です。これは侮辱しているわけではなく添加物を使って熟成を長期間行わず短期間で製造しているのでそうに呼んでいます。大量生産できて味も良いので嫌いではないです。
が
これを生ハムと言って良いものか職人としては悩むところです汗。。。本当の熟成香はこんなんじゃないわいと言いたいものですがジャンルが違う、土俵が違うと思うことにしています。

では「本物の生ハム」は?というと、豚肉と塩のみを使い1〜2年ほど長期熟成した生ハムのことを私は「本物の生ハム」と呼んでます☺︎ ケミカルな甘みや香りがなく純粋な熟成香が感じられる素晴らしいものです!これぞ職人技と叫びたくなります!
見分け方
見分け方はズバリ!食品表示ラベルを見ることです。パッケージの裏にあるヤツです!
その中にある原材料を見てみましょう!
| 原材料 | 豚肉(〜産)、食塩 |
このようにあれば大体が長期熟成の本格的な生ハムです!たまに亜硝酸塩(亜硝酸Na)というものが添加されているものもありますが、まあこれは許せるものです笑
逆にこのようなラベルがあったら「ケミハム」です。
| 原材料 | 豚肉(〜産)、還元水あめ、食塩、ブドウ糖/ 調味料(アミノ酸)、ph調整剤、酸化防止剤(ビタミンC)、発色剤(亜硝酸塩) |
「ケミハム」の大体がこのような原材料になっています!スーパーに並んでいるスライスパックの生ハムは、ほとんど「ケミハム」です。中には燻製の香りがついてるものは燻製せずにスモークフレーバーを添加しているものもあります。。。私はアンチ添加物ではないので否定はしませんが、う〜〜〜ん。って感じです。
この物価高の中、手を伸ばしづらいと思いますが、本物の味を知って欲しいのが本音です☺︎
本格的な生ハムを食べたい方はお近くのハム工房orお取り寄せをご利用ください!
オススメは国内メーカーが国産豚を使って製造しているものです!外国産のものは当たり外れの差が激しいのでオススメできません。決して安いものではないので失敗はしたくないですよね(^^;;
↓画像をクリックしていただくとオススメの生ハムの商品ページ(ヤフーショッピング)に飛びます!
ふるさと納税の返礼品にもあるのでこちらもどうぞ!「生ハム 無添加」で検索するとたくさんヒットすると思うのでチャレンジしてもらえたら幸いです☺︎
おまけ、水分活性の測り方と基準
水分活性は専門の測定器を使って測ります!しかし、その測定器が軽く買える金額ではないので測り方と基準についてはおまけにしましたm(_ _)m興味のある方は覗いてください!
水分活性を測るにはこのような機械を使います。

このような機械は約10万円します。仕事で使う機器の中では安い方ですが趣味で使うには高いですよね(^^;;
使い方は簡単!トレイに測りたい食材を乗せ、中に入れて蓋をすれば終了!!簡単でしょ?原理はややこしいので割愛で笑
そもそも水分活性を測ってどうするん!って話ですが、実は水分活性の値によって保存温度が変わってきます。これは規格基準で決められているのです!
| 水分活性 | 保存温度 |
| 乾燥食肉製品は0.87未満 → | 常温 |
| 0.95未満 → | 10℃以下 |
| 0.95以上 → | 4℃以下 |
細かく言ってしまうと非加熱か特定加熱か、phの値によってなど例外も存在します。すっごくまとめると↑のような感じです。0.95Awと0.87Awは数字的には誤差のように感じますが水分活性の世界では天と地のような違いがあるので面白いですよね〜
実はジャーキーや生ハムの食品表示ラベルに『水分活性』の欄があります!一般的に企業さんは安全性を高めるため、規格基準よりも厳しい基準で製造しているので表記してある数字は基準より低い数字になっていると思います!ジャーキーや生ハムを見つけたらぜひ見てみてください^_−☆
おわりに
水分活性について長々と語りましたがいかがでしたか?(ほぼ小話)
普段の生活では水分活性を気にすることはないと思います。でも食肉加工を行う上では大変重要になってきます。機械を買って検査しながら作りましょう!!!とは言いません。。機械高いし^^;
今回紹介した水分活性の下げ方を参考にして安心安全な食肉加工ライフを楽しんでいただければ幸いです☺︎
最後まで読んでいただきありがとうございました!!!ではでは〜また!!

